「僕は薄情だと思うかい?」

バイト先にたびたびリストカットをする子がいます。まあ、手首は切ってないんで正確にはアームカットとでも言うべきでしょうけど。
僕が昨晩のバイト中に休憩をもらい、一休みしようと事務所へ来たときにも、どうも切って間もないところだったらしく、その子の腕からは血が出ていました。血を見るのは慣れてるので(何か嫌だな)それほど驚きませんでしたが、やはり血を見るのはいい気分ではありません。
しかし、だからといってここで「そういうことはやめなよ」なんてことは、僕には言えません。何故なら、それはその子にとっては自分の存在を全否定されると同義だからです。だいたい、リストカットなんてやめた方がいいなんて、僕が言うまでもなくわかってるはずです。それでもやってしまうのは、タバコを吸うのと一緒で、それが一種の癒しとなっているからです。
だから、僕はただ傷の心配だけをして、ちょっとお喋りに付き合いました。それだけです。